現在、エルメネジルドゼニアが提案した3つボタンタイプ、アルマー二から提案されているトレンティモデル、そして他のイタリアのデザイナーも含めて、かなり違いのあるものの、アメリカン・トラッドやブリティッシュの匂いを加味しているなと感心させるシルエットがあります。
これが世界の潮流となるかどうかは、神のみぞ知ることでしょう。
1991年、アルマー二を中心としたソフトスーツの大ブームは去ったといわれていますが、いいかげんなDCブランドがその縫製の悪さと、基本のできていない物真似のため、落ち目になっただけです。
イタリアン・シルエットは若い世代からミディアムの世代へと移りながら、今も主流のジャンルです。
さて、そのベーシックなイタリアン・テイストのスーツラインは、肩幅が広く、仕立てはベリーソフト。
襟のポイント、ゴージラインは低く、ボタン位置、ポケット位置も低めで、ゆったりしたルーズフィットながら、上衣の裾まわりはヒップラインにそうV型シルエットでノーベントです。
ボトム(ズボン)も深いツータックやボックスプリーツなど、股幅、ひざ幅に至るまでたっぷりありますが、裾口は案外細めで幅の狭い夕ーンナップ(折り返し)がついています。
もちろん、全デザイナーがこれと同じはずがなく、どこかに共通点があるということです。
今、挑戦中のトレンディなイタリアン・シルエットには、イタリアン・トラッドバージョンがあり、3つボタンスタイルで、やはり肩幅広め、しかも、仕立てもソフト、他のディテール(細部)デザインや構造は、イタリアン的にルーズです。
ジョルジオ・アルマー二が衣裳を担当した映画『アンタッチャブル』の4人のうち3人の背広のシルエットが、世界の基本シルエットの特徴を表わしていて面白いです。
4人の左端はブルゾンのため、ここでははずして、中央長身のケビン・コスナー扮するエリオット・ネスのスーツでアルマー二の香りが少なめなのは、時代考証のせいでしょう。
しかし、この服装は紛れもなく現在のイタリアン・シルエットに通じるものがあります。
中央左のショーン・コネリー扮するジミー・マローンは、アメリカン・トラッドのジャケット。
右端の小柄な連邦派遣税理士、オスカー・ウォレスは、ブリティッシュ・アメリカンに見えますが、ブリティッシュ・トラディショナルに近いでしょう。
ともかく、1930年代想定の映画として、各シルエットの特徴が出ていて面白いのです。